2019.07.16
自動化の先に何があるのか?
世の中は自動化に流れている
働き方改革が取りざたされてから、生産性向上は企業の優先事項になりつつあります。2017年度の中小企業白書では興味深いデータが発表されました。下記のグラフはリーマンショック前後の大企業と中小零細企業の売上と生産性の比較です。
【現状分析 1-2】中小企業・小規模事業者の現状
ご覧いただいた通り、リーマンショック以降、大企業、中小企業共に売上はそれほど持ち直していません。しかし、労働生産性を見ると大企業はリーマンショック前くらいまで持ち直しています。
興味深いのは、中小企業の労働生産性の推移です。リーマンショックの前も後も、昨今の景気上昇局面においても、ずっと低い水準のままなのです。そもそも中小企業のマーケットは、大手企業が手を出さない非生産的で成長性の低い分野に集中する傾向が強く、生産性が上がりにくい傾向にあります。
大手企業が手をつける分野は大量生産をベースに可能な限りロボットによる自動化が進められてきました。労働者が機械に変わり、人間以上の生産量を実現すれば自ずと生産性は上がります。
かたや中小企業は、大量生産が難しいものやサービス業のように、一人の人間が一度に一つの事しか行えない分野を主戦場としていますので、一人当たりの生産性はなかなか上がらないのが実情なのです。
そこで最近では、自動レジや3Dプリンタ、高精度画像認識、複数動作をこなせる万能型ロボットの技術などを用いて、これらの分野を効率化しようとする動きが広まっています。
そもそもITは、非効率だったものを効率化するものです。今までの技術では効率化できなかった分野をAIやロボットが効率化できるとしたら、ものすごく大きなイノベーションが起きるでしょう。
各社はそれに乗り遅れないように、ITによる自動化を推進しているのが現在の大きなトレンドと言えます。
人間の仕事がAIやロボットに奪われる?!
オックスフォード大とイェール大の研究者が、352人の人工知能研究者の答えを元に「ロボットが人間のさまざまなタスクを代わりにできるのはいつになるか」をグラフ化しました。
それによると、2020年から2060年の間に「洗濯物を畳む」「どんなに難しいレゴでも組み立てる 」「 トップ40に入るポップソングを作曲する 」「 小売店舗の販売員になる 」「 ニューヨーク・タイムズ の人気記事を執筆する」「複雑な手術を行う」などなど、様々なタスクをAIロボットが人間の代わりに行えるようになると予測しています。現在の目覚ましい発展を見ると、この予測はおおよそ的中するのではと感じます。
一人の社長と大量のAIロボットが何かを製造する会社。こうなると、もはや企業である必要もないような気がします。大企業も必要な従業員数が大幅に減り、企業分類における従業員数という名目は撤廃されるかもしれませんね。
問題なのは、こうなった時「人間は何を仕事とするのか?」です。
そもそも、私たちが行ってきた仕事というものが、「生きるため」から「別の何か」に変わるのでしょうか?それとも、また別の課題が現れる事によって、相変わらず別の仕事を行っているのでしょうか?
誰かが働かなければ生きていけない世界が、誰も働かなくても生きていける世界になったとしたら、その時、人は何を目指すのでしょう?
私は、経済をベースとしない本当の意味で人間のニーズを満たすサービスや分野が生まれるのではないかと思います。そして、その時の対価は、誰かが発行した社会貢献をした人に送られるビットコインだったりするのでしょうね。