2011.11.02
製造業の海外進出
香港、中国深川に行ってまいりました。
現地では、エクストのお客さまでもあり、古くから何かとお世話になっている三輝ブラストの佐藤社長の工場を視察し、今後の海外戦略などについて、100名を超える経営者の皆さまと一緒に学んできました。
成長著しい中国ですが、上海などの都市部と違い、深川はまだまだ発展途上の雰囲気を醸し出していました。現地の平均的な月収は日本円で3万円程度。
そうした方を100名雇用したとすると、月の人件費は300万円。日本で働くパートさんの平均月収を仮に20万円とした場合、15名で同じ作業をこなさなければ同じ生産性を達成できない。
この数字だけ見ても、日本で生産することが難しくなっている現状が浮き彫りになる。加えて税制面の優遇や進出国の顧客に対する納入輸送費の軽減、スピード化など、海外進出によるメリットは計り知れない。
反面、文化の違いによるマネジメントの難しさや治安、対象顧客の撤退や合併などによりたちまち苦境に立たされるリスクも存在する。
しかし、国内の大手企業が生産拠点を海外に置く限り、そこに対して部品を納入している企業においては、海外に進出するかしないかという選択肢はもはや残されていない。まさに、出来る方法を考えて手を打つ以外に方法はないのである。
そうすると国内に残る製造業の多くは、多品種、小ロット、スペシャルニッチ、量産不可技術、国内需要に限定された生産物など、一部の業態に限られることになる。
ここに来て、世界の工場と言われた中国も少しずつ陰りが見え始めている。最近では、フィリピンやタイ、ベトナムといった国に進出するという話をよく耳にするようになった。
「栄枯盛衰」というが、いつまでも成長し続ける国も会社も存在しない。
そう考えると、ゴーイングコンサーン(永続企業体)であり続けるためには、成長とは異なるベクトルで経営戦略を練る必要があると気付かされる。
そのひとつの方向性として、危機や変化に強くなる社風作りをしていかなければならないと痛感する。